不動産売買契約時に本人確認をした場合、登記申請までの間に本人の判断能力が低下した場合に、先にした本人確認の効力は如何に

昨今、いろいろな場面で本人確認、意思確認がなされるが、不動産取引の際もいくつかの場面で本人確認、意思確認が行われる。

まず、仲介業者との媒介契約や、不動産売買契約を締結する際に仲介業者によって確認が行われる。売買契約に関連して所有権移転などの登記を司法書士に依頼する際にも司法書士によって確認が行われる。売買代金を支払う際も、出金や送金の際に銀行窓口で確認が行われる。

不動産という高価な財産の売買を行うのであるから、こうした確認が行われるのは当然である。私は司法書士であるが、私が確認する内容は、本人であることに間違いはないか、売却または購入することに間違いはないか、売買対象の物件に間違いはないかということに加え、本人は売買するこということを正確に認識しているかという判断能力についてもいくつかの会話の中から確認をすることになる。

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住宅用家屋証明書取得の際の入居予定期間の取扱いに異議あり

 住宅用家屋証明とは、住宅用家屋を新築し、又は新築の住宅用家屋を購入して、1年以内に登記をする場合、登録免許税(所有権の保存・移転、抵当権の設定登記の際にかかるもの)の税率の軽減を受けるために必要な証明書である。

 たとえば、新築住宅の場合の住宅用家屋証明書は、個人が住宅用家屋を新築するか建築後使用されたことのない住宅用家屋を取得すること、個人が専ら自分の居住用としてその家屋を使用すること、床面積が50平米以上あること、.新築又は取得から1年以内に登記を行うこと等が審査されて証明書が発行され、その証明書を登記申請書に添付して登録免許税の税率の軽減を受けることとされている。

 そして、「個人が専ら自分の居住用としてその家屋を使用すること」の審査の資料として、その住宅に住民登録をしていることがわかる住民票の提出が求められている。

 このように、住宅用家屋証明書を取得するのは登記申請の際に登録免許税の軽減を受けることが目的であるが、登記を申請するということは、商慣行としては建築会社から住宅の引渡しを受けているということである。建築会社から引渡しを受けているということは、建築代金を支払っているということである。そして、多くの場合、建築会社に支払う建築代金は銀行から住宅ローンの融資を受けているため、金融機関では融資実行と同日かなるべく近接した日に抵当権設定登記が申請されることを期待している。抵当権設定登記を申請するためには所有権保存登記がなされなければならず、そのために住宅用家屋証明書を取得する必要がある。

 ここで、おかしな問題が発生する。

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売主死亡後に農地法の許可がなされた場合の所有権移転登記手続

 売主甲が譲渡人として所有権移転についての農地法の許可を申請後に死亡し、死亡後に甲名義宛に許可がなされた場合、この許可が有効か、また、有効であるとして登記手続はどのようになるのか。

 そもそも、死亡者あての許可が有効なのであろうか。古い質疑応答(登記研究83号)では、農地法3条の許可申請中に売主が死亡した場合でも、その後許可があったときは、当該許可は無効ではないものの、買主死亡による場合は、当該許可は、当然に無効となるとしている。
 質疑応答は次のとおり。・・・・・・・・

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被相続人が生前に売買で取得した不動産につき相続財産法人を登記権利者として登記することができるか

 少しデフォルメするが、被相続人が生前に売買により不動産を取得したが、不動産の名義変更手続はしていなかったとする。その後、相続が発生し、相続人の全員が相続放棄をしたために相続人が不存在の状態となり、相続財産管理人が選任された。

 この場合、売主を登記義務者、相続財産法人を登記権利者として所有権移転登記ができるか、という問題で補正となった。

被相続人が亡くなって相続人不存在により相続財産法人が組成された場合、被相続人名義の不動産は所有権登記名義人表示変更登記によって相続財産法人名義に変更登記をすることができる。この「所有権登記名義人表示変更登記」の手続きに着目すると、本問の場合も、相続財産法人を登記権利者として所有権移転登記ができそうである。

 これは、例えば、不動産の買主が所有権移転登記をしないうちに住所を移転した場合、新しい住所で所有権移転登記をすることができることと同じである。

しかし、・・・・・・・・・

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その時、会議室は凍り付いた!

 「司法書士の古橋と申します。早速ですが、抹消書類を確認させてください」
 今日は何度この言葉を口にしただろうか。抵当権者である金融機関が8行。集合時間である午前10時を待たずして次々と応接室に入ってくる。

 部屋の一番奥には、一時は3店舗のスーパーマーケットを展開してきた社長がうつむき加減で腰掛けている。2年ほど前にお会いした時は、スーパーマーケットの裏方で白い長靴を履いて快活に笑っていたが、今は見る影もない。

 ここは、地元で最も有力な地方銀行の会議室であり、歴史を感じさせる重厚な建物の造りは緊張感を増幅させるのに十分である。

 会議室には、社長、社長が依頼した弁護士、債権者である8箇所の金融機関の職員、滞納処分で差押をした市の職員2名、スーパーマーケットの跡地を購入するディベロッパーの社員2名、不動産仲介業者2名という物々しい面々が集まった。そして、8箇所の金融機関の職員の手を通じて次々に提示される抵当権抹消書類をチェックする私に注目が集まっている。私は、いやでも強烈な視線を感じながら、「では、次の債権者さん、えー、〇〇銀行さん、お願いします」と平静を装いながらチェックを続ける・・・・・・。
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精算をしてください
「これで登記に必要な書類は全て整いましたので、売買代金の精算をしてください」
 不動産の売買取引の最終局面は、司法書士のこうした宣言によって諸々の費用が一斉に精算される。
 典型的なのは、この宣言によって金融機関が買主に融資を実行し、買主はそのお金で売買代金を売主に支払う。売主は受け取った売買代金から自分が融資を受けていた金融機関に返済を行う、というようなパターンである。もちろん、これらにあわせて固定資産税、不動産仲介手数料、登記費用の精算なども行う。
 こうして、通常であれば1時間ほどで不動産取引の最終局面が終了するのである。
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