住宅用家屋証明書取得の際の入居予定期間の取扱いに異議あり

 住宅用家屋証明とは、住宅用家屋を新築し、又は新築の住宅用家屋を購入して、1年以内に登記をする場合、登録免許税(所有権の保存・移転、抵当権の設定登記の際にかかるもの)の税率の軽減を受けるために必要な証明書である。

 たとえば、新築住宅の場合の住宅用家屋証明書は、個人が住宅用家屋を新築するか建築後使用されたことのない住宅用家屋を取得すること、個人が専ら自分の居住用としてその家屋を使用すること、床面積が50平米以上あること、.新築又は取得から1年以内に登記を行うこと等が審査されて証明書が発行され、その証明書を登記申請書に添付して登録免許税の税率の軽減を受けることとされている。

 そして、「個人が専ら自分の居住用としてその家屋を使用すること」の審査の資料として、その住宅に住民登録をしていることがわかる住民票の提出が求められている。

af0060018214 このように、住宅用家屋証明書を取得するのは登記申請の際に登録免許税の軽減を受けることが目的であるが、登記を申請するということは、商慣行としては建築会社から住宅の引渡しを受けているということである。建築会社から引渡しを受けているということは、建築代金を支払っているということである。そして、多くの場合、建築会社に支払う建築代金は銀行から住宅ローンの融資を受けているため、金融機関では融資実行と同日かなるべく近接した日に抵当権設定登記が申請されることを期待している。抵当権設定登記を申請するためには所有権保存登記がなされなければならず、そのために住宅用家屋証明書を取得する必要がある。

 ここで、おかしな問題が発生する。それは、建築代金を支払うことを見越して、実際には新築住宅に転居していないにもかかわらず、虚偽の住所異動届が提出されるという問題である。しかし、そのことは、建築業界でも、司法書士業界でも、はたまた住宅用家屋証明書の発行を担当している行政でも暗黙の商慣行としてまかり通ってしまっている。
 まあ、業界に身を置く者として、そのことにわざわざ異議を述べようとは思わない。

 ところで、新築住宅を入手したものの、何らかの事情ですぐには入居できないという事情がある場合も実際には少なくない。一般的には、先ほど述べた経済的な要請から、まだ内装がすべて完成していない段階で融資実行が行われることもあるため転居したくても転居できないとか、住宅の引渡しを受けたが引っ越しは次の土日で行いたいなどの理由である。

 住宅用家屋証明書を取り扱っている行政が参考にしている書籍でも、このような場合、1~2週間程度の期間のうちに入居(転居)する予定であれば、その旨を記載した申立書を提出させて、住宅用家屋証明書を発行してもよいとされている。

 さらに、上記の書籍では、病気療養、転勤、子供の学校の関係で転居できない等やむを得ない事情がある場合には、疎明資料を提出させて住宅用家屋証明書を発行するとされているが、その場合の申立てから入居日までの期間は1年以内に限られる、としている。

さて、整理してみよう。

 入居が1~2週間のうちにできるのであれば、理由を記載した申立書の提出は要するものの、疎明資料の提出がなくても住宅用家屋証明書は発行される。その期間を超える場合には、やむを得ない事情を疎明書類等により明らかにして住宅用家屋証明書が発行されるが、その場合は申立日から入居日までの期間は1年以内に限られる、ということになる。

 ところが、この「1~2週間」と「1年以内」とを混同してか否かわからないが、やむを得ない事情があるにもかかわらず申立日から入居日までの期間を1~2週間とか、それに近い短期間でなければ住宅用家屋証明書を発行しない市町村が多く見受けられる。この取り扱いは不当である。

 今日も、住宅用家屋証明の担当課とこの件で折衝した。担当者は他の市の担当課に取り扱いを確認するなどしていたが、ほかの市も、平然と「断っている」というのである。
 発行できないのならその根拠となる法律を提示されたい、取下げはしないので発行できないというのであれば却下してもらいたい、と粘った挙句、最終的には発行してもらうことになった。

 最後は、担当者は、言外に「今回だけですよ」と渋々発行した形だが、私は残念ながらそうは思っていないのである。