作成者別アーカイブ: 司法書士法人中央合同事務所

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売買代金残金及び違約金請求権を担保するための抵当権設定の登記原因は?

 少ないケースだと思うが、不動産売買において、売買代金の一部の支払いと引き換えに所有権移転登記をし、同時に、売買代金残金と万が一買主の違約により違約金が発生した場合の違約金請求権を担保するための抵当権設定を依頼された。
 この場合、抵当権の申請書はどのように記載するか。

売買代金残金については登研436号に次の質疑応答がある。

問 売買代金を担保する為に抵当権を設定する場合の申請書の登記原因の記載の仕方をお教え下さい。
答 所問の場合の登記原因は、「昭和何年何月何日売買代金の昭和何年何月何日設定」と記載するのが相当と考えます。

しかし、違約金については先例がみあたらない。

結局、次の振り合いで登記完了!

登記の目的  抵当権設定
原   因  (あ)年月日売買代金
        (い)年月日付不動産売買契約にもとづく違約金支払請求権
       年月日設定
債 権 額  (あ)金〇円
        (い)金〇円
        合計金〇円
利   息   定めなし
損 害 金  定めなし

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【業界向けの話題】変更後の「債権の範囲」の記載方法

根抵当権の債務者が吸収合併存続会社となって合併した場合に、根抵当権者の吸収合併消滅会社に対する銀行取引債権(無担保)を根抵当権の債権の範囲に加える場合、登記申請書に記載すべき「変更後の事項 債権の範囲」はどのような振り合いになるか。

変更後の事項 銀行取引 手形債権 小切手債権
       平成〇年〇月〇日合併(被合併会社株式会社〇〇)にかかる債権

これでいいのではないか思う。

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「この抵当権は身に覚えがない!」

「この抵当権は身に覚えがない」という相談がありました。

 抵当権を設定登記するには、抵当権設定登記手続きを命じる判決でもとられていない限り、不動産所有者の印鑑証明書と実印の押印が必要です。ところが、印鑑証明書を出したこともないし実印を押した覚えもないというのです。
 もっとも、平成5年に登記された抵当権なので、記憶もあいまいになっているかも知れません。

 とにかく、当時の登記申請書とその附属書類が法務局に保管されていると思うので、それを閲覧してみよう、ということになりました。

 ちなみに、登記申請書とその附属書類は法務局に30年間保存されています。根拠条文は次のとおり。

不動産登記規則
(保存期間)
第二十八条 次の各号に掲げる情報の保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。
一 登記記録(閉鎖登記記録(閉鎖した登記記録をいう。以下同じ。)を除く。) 永久
二 地図及び地図に準ずる図面(閉鎖したものを含む。) 永久
三 建物所在図(閉鎖したものを含む。) 永久
四 土地に関する閉鎖登記記録 閉鎖した日から五十年間
五 建物に関する閉鎖登記記録 閉鎖した日から三十年間
六 共同担保目録 当該共同担保目録に記録されているすべての事項を抹消した日から十年間
七 信託目録 信託の登記の抹消をした日から二十年間
八 受付帳に記録された情報 受付の年の翌年から十年間(登記識別情報に関する証明の請求に係る受付帳にあっては、受付の年の翌年から一年間)
九 表示に関する登記の申請情報及びその添付情報(申請情報及びその添付情報以外の情報であって申請書類つづり込み帳につづり込まれた書類に記載されたものを含む。次号において同じ。) 受付の日から三十年間(第二十条第三項(第二十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定により申請書類つづり込み帳につづり込まれたものにあっては、電磁的記録に記録して保存した日から三十年間)
十 権利に関する登記の申請情報及びその添付情報 受付の日から三十年間(第二十一条第二項において準用する第二十条第三項の規定により申請書類つづり込み帳につづり込まれたものにあっては、電磁的記録に記録して保存した日から三十年間)
<以下省略>

 さてさて、登記申請書とその附属書類を閲覧したとしても、法務局ではコピーは撮らせてもらえません。だから、法務局に了解をもらって写真をとることになります。何回か以前に閲覧をさせてもらったことがありましたが、随分前のことで、当時はスマホなどなく、カメラで撮影して現像したという記憶があります。

 ちなみに、登記申請書とその附属書類の閲覧は、利害関係人でなければ許可されませんので、利害関係のあることを説明できるだけの資料を持参するか、その内容を説明した書面をそろえる必要があります。昔は「訴え提起のため」と書けば閲覧できましたが、今では具体的な利害関係の疎明を求められるのです。

 また、司法書士が代理人として閲覧する場合には利害関係人からの委任状と利害関係人の本人確認書類も求められます。

 準備が整い、勇んで法務局に行きました。ところが、大きな壁が立ちはだかってしまいました。それは、不動産登記規則が改正された際の附則でした。

附 則 (平成二〇年七月二二日法務省令第四六号)
(施行期日)
第一条 この省令は、平成二十年七月二十二日から施行する。
(経過措置)
第二条 この省令による改正後の不動産登記規則の規定は、この省令の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、改正前の不動産登記規則の規定により生じた効力を妨げない。
2 この省令の施行の際現に不動産登記規則第二十九条の規定に基づき法務局又は地方法務局の長の廃棄の認可を受けている情報の保存期間については、なお従前の例による。

 この改正がなされる前は、登記申請書とその附属書類の保存期間は10年だったのです。したがって、今から30年前までの書類が保存されているわけではなく、平成20年7月以前の書類は平成10年7月までの分しか保存されていないというわけです。

残念!

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清算結了登記前に抵当権が消滅していた場合にどのように抵当権抹消登記をするかを整理しました(備忘録)

清算結了登記前に抵当権が消滅していた場合にどのように抵当権抹消登記をするかを整理しました(備忘録)

〇清算人が生存している場合

 抵当権者たる地方農業会が清算結了登記後、その登記前に弁済により消滅した抵当権の登記の抹消をする場合には、旧農業会を登記義務者とし、旧清算人をその法定代理人として申請してさしつかえない。
(昭24.7.2、民事甲第1,537号民事局長電報通達)

 閉鎖機関の清算結了後清算中に処分した不動産の所有権移転登記手続は、閉鎖機関の特殊清算人を法定代理人として買受人とともに所有権移転の登記を申請する。申請書には、特殊清算人の資格を証する書面として閉鎖機関の登記簿謄本又は抄本を添付し、特殊清算人の印鑑証明書は、特殊清算人が個人であるときは、市町村長又は区長の証明したものを添付する。
(昭28.3.16、民事甲第383号民事局長通達)

〇代表清算人が死亡している場合

他の清算人と抵当権設定者とで抵当権の抹消登記を申請できる

〇清算人が全員死亡している場合

 農業団体法の施行により解散した産業組合の権利義務を承継した市町村農業会が、法律の規定により解散したものの、いまだ清算結了の登記がされておらず、また、清算人がすべて死亡し、現在清算人がいない場合に、当該産業組合を抵当権者とする抵当権の抹消登記は、利害関係人である抵当権設定者から裁判所に対して農業会の清算人選任の申立てをし、当該清算人と共同して、申請するのが相当であり(抹消の登記原因が農業会成立後のものであるときは、当該清算人において、まず、抵当権の移転の登記を要する。)、不動産登記法第142条第3項後段の規定に基づく登記の申請は、することができない。
(平11.6.15、民三第1,200号民事局第三課長回答)

 株式会社の清算結了後清算人の全員が死亡している場合において、清算結了前に消滅した抵当権登記の抹消を、裁判所の清算人選任の決定書を不動産登記法第35条第1項第5号の書面として添付して申請があった場合には、その申請を受理してさしつかえない。
(昭38.9.13、民事甲第2,598号民事局長回答)


 なお、清算結了登記後に抵当権が消滅した場合には、精算事務が完全に終了していないのであるから清算結了登記を錯誤により抹消し、その後に抵当権抹消登記を完了させ、その後に清算結了登記を申請する。

びっくり! 相続登記の促進のための登録免許税の特例

法務省から平成3 0 年度税制改正(租税特別措置)要望事項が出されていることがわかりました。

【制度の概要】
いわゆる相続登記が未了となっている土地の発生については,その要因の一つとして相続登記に係る費用の負担が指摘されている。このため,相続登記に係る登録免許税について特例措置を設けることで相続登記を促進する。

【要望の内容】
措置の内容:次の適用要件に係る所有権に関する登記の申請について,登録免許税を免除する。
適用要件:
①相続発生から30年以上経過している土地に関して当該相続を起因とした登記を申請した場合に,当該所有権についての相続登記にかかる登録免許税の免除
②課税標準額が一筆当たり20万円以下の土地に関して相続を起因とした登記を申請した場合に,その登録免許税を免除
【関係条文】
登録免許税法(昭和42年法律第35号)第9条 別表第1

要望事項はこちら

中古住宅取得時のリフォーム資金借り入れと租税特別措置(司法書士の実務的な話ですけど)

 居住用の中古住宅や中古マンション購入時の融資に対して抵当権を設定する場合は、建築年次等の一定の要件を満たせば、登録免許税を減額することができる(通常は設定額に対し1000分の4の登録免許税が1000分の1に減額される)。

 これは、住宅の取得や増築を推進するために租税の特別措置がとられているからである。

 金融機関によっては、中古物件購入代金とは別に入居時のリフォーム代金について別個の抵当権を設定することがある。その際、抵当権設定契約書の「使途」に「リフォーム資金」とだけ記載されている場合がある。

 この場合、当該抵当権設定登記については、法務局の形式審査により、租税特別措置が受けられない可能性がある。これは、中古住宅に関する租税特別措置は、あくまでも「取得又は増築」に対してのものであり、リフォームには適用されないという見解による。 
 しかしながら、中古住宅を購入時にリフォームするのは「取得」の一環である。もしも、抵当権設定契約書に使途を記載するのであれば、注意が必要である。

備忘録 海外転勤中に住宅を取得した場合の住宅用家屋証明書

af0100037802 「海外転勤中に日本国内に住宅を取得し家族が住んでいる」とか、「住宅完成間近に海外転勤を命じられ、単身で転勤してしまった」というような場合でも、住宅用家屋証明の取得が可能である。住宅用家屋証明を取得することができれば、登録免許税が減税されるのでマメ知識として知っておきたい。

 要件として、配偶者等の家族がその住宅に居住していることが必要のようだ。したがって、申請書には、事情を書いた上申書と居住している家族の住民票の添付が必要とのこと。もっとも、市町村によって取扱が異なる可能性もあるので事前に確認しておいた方がよい。

 住宅用家屋証明を利用した登録免許税の減税は、登記のあとに減税できたことに気がついても還付という制度がないので注意が必要だ。